正常進化したDiscreteシリーズの新モデル、 Antelope Audio Discrete 4 Pro Synergy Core 【製品レビュー】
Antelope Audio の人気オーディオインターフェイス、Discreteシリーズ
オーディオインターフェイス、モデリングマイク、リファレンスクロックなどで有名なプロオーディオ機器メーカー「Antelope Audio」の、ディスクリート・ウルトラリニア・マイクプリアンプを搭載する据え置き型オーディオインターフェイスシリーズが「Discrete」シリーズです。「Discrete 4 Pro Synergy Core」は、4つのマイクプリを持つ前モデル「Discrete 4 Synergy Core」のまさに正常進化版と言えるもので、音質面・機能面ともにしっかりとグレードアップしています。特に接続が Thunderbolt™2 から Thunderbolt™3 になったことで、内臓エフェクトをDAW上のプラグインとしてアクセスできる「afx2daw」(オプション機能)が最新のPCから利用しやすくなっているほか、内臓エフェクト自体も、同時に利用できるバスが前モデルの4から4倍の16に一気に増えています。
サイズは先代モデルと全く変わらず、コンパクトでデスクトップにも置き易いサイズです。全面パネルにヘッドフォンアウトが4つもついている機種は少ないですね。バンド録音などで便利に使えそうです。基本的に4つの内部ミキサーと連動していてそれぞれ違うミックスバランスを設定したり、新しいバーチャルパッチベイで直接任意のソースを聞くこともできます。
このサイズでマイク/ライン INx4、ADAT INx8、S/PDIF x2 と14インプットあり、アウトは4つのヘッドホンアウトを入れると20アウトもあります。ADAT OUT付きのマイクプリで入力を増やしたり、高品質な本機のクロックに同期させることも可能です。非常に拡張性が高く、さらにこれらの入出力は自由にルーティング可能です。
さらに高音質に!最大130dBのダイナミックレンジ
先代モデルからレンジの広さ、癖のないフラットな音質が評価されていましたが、今回さらに新世代AD/DAコンバータを搭載しダイナミックレンジが向上しています。ギターの入力でのチェックでは、よりフラットでさらに癖のないサウンドに感じられました。本機に標準で付属するFXのひとつであるアンプシュミレーター(AntelopeとOVERLOUDの共同開発)は、ナチュラルなトーンでピッキングのニュアンスも生かしてくれるところが気に入っていましたが、今回さらに自然な響きになっていると感じました。
先代モデルと比較すると、確かにレンジ感、特に立体感が増した感じです。定位感が明瞭で見通しの良いサウンドです。Antelopeのオーディオインターフェイスはクリアで立体感豊かな印象がありますが、これには同社のクロッキング技術「64bit AFC」とジッターマネジング技術が寄与しているのかもしれません。
あらゆる信号ソースをあらゆる出力先に自由にルーティング
今までAntelope製品の比較的ハイレンジモデルに採用されていたバーチャルパッチベイが、Discreteシリーズにも採用されました。それに伴いルーティングの自由度も増しています。ループバック用のルーティングやミックスをFXに送るルーティングなど自由自在です。
従来と同様のプルダウンメニューによるルーティングも可能です。ただしAFXなどルーティングの仕方が変わっている部分もあるので(より自由な設定が可能になったため)注意が必要な部分もあります。先代モデルユーザーの方はこのプルダウンを開いただけで自由度が大幅に増しているのが分かりワクワクすると思います。
前モデルの4倍の16チャンネルに立ち上げ可能なリアルタイムエフェクト
前モデルでは4つのバスにAFXがアサインできましたが、本機はその4倍の16バスにAFXをそれぞれ8エフェクトをアサインすることができます(同時にアサインできる数には限りがあります)。Antelopeのリアルタイムエフェクト(Antelope FX)は、内臓のFPGA&DSPで処理されPCのCPUリソースをほとんど消費しません。afx2daw(AFXをDAWから使えるようにするプラグイン)使用時はもちろんDAWからインサートバス経由で使う場合でも、CPUの負荷を気にせずに多数のトラックでAFXのヴィンテージモデリングFXを使用することができます。
Discrete 4 Pro Synergy Core には前モデル同様アンプシミュレータを含め37種類のAFXが付属しています。PultecやUREIをシミュレートしたと思われるヴィンテージEQやコンプ、また高品質なリバーブも付属しています。さらにオプションで50種類以上のAFXを追加することもできます。
また、同社製モデリングマイク「Edge」シリーズとの組み合わせで、ヴィンテージマイクのエミュレーションを行うこともできます。もちろん処理はハードウェアでリアルタイムで行われます。
まとめ
先代モデルも非常に完成度の高い、高音質なオーディオインターフェイスでしたが、今回のモデルチェンジでさらに高音質、高機能となり(価格もちょっとアップしましたが)満足度の高い長く使える製品になったと感じます。自宅スタジオのコアとして、またバンドの収録などにも活躍するお勧めのオーディオインターフェイスです。
なお、マイクプリを8つ搭載する「Discrete 8 Pro Synergy Core」もラインナップされており、こちらはリアンプ端子、トークバック機能などさらにスタジオワークで有用な機能が追加されています。
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