アナログAirモード付き8マイクプリ搭載、USBオーディオインターフェイス Focusrite Clarett+ 8Pre 【製品レビュー】
8つのClarettプリアンプでプロ品質のセッションレコーディング
1980年代にRupert Neve氏により設立され、優れたコンソールやマイクプリなどを作ってきた「Focusrite」の、ミドルレンジのオーディオインターフェイスといえるのが「Clarett+」シリーズです。「Clarett+ 8Pre」は、超低ノイズ・高ヘッドルームのマイクプリを8基、その全てにISAプリアンプのサウンドを再現するオールアナログ方式のAirモードを搭載。2つのJFETインストゥルメント入力や2つの独立したヘッドホン出力、柔軟なルーティングが行える10系統のアナログバランス出力やADATの拡張性もあり、スタジオの中心となるオーディオインターフェイスです。
先代モデルの「Clarett」シリーズはAKMのDACチップが使用されていましたが、「Clarett+」シリーズはCirrus Logicのチップを採用、ダイナミックレンジの拡大と音質の向上を達成しています。
オールアナログ方式のAirモードやJFETインストゥルメント入力
Focusriteのオーディオインターフェイスではお馴染みの機能「Airモード」ですが、本機にもアナログインプットの8ch分搭載されています。Scarlettシリーズの上位機種という事で、オリジナルのISA 110モジュールを忠実にエミュレートし、マイク入力においては入力インピーダンスが6.2kΩから2.2kΩに切り替わり、オリジナルのFocusriteプリアンプの伝統的なサウンドを簡単に利用することができるようになっています。プリアンプの音質はScarlettシリーズと比べるとより太く、奥行きが感じられました。特にギターではよりギターらしい(アンプっぽい)音になっていると思います。
ADATやS/PDIFで18入力/20出力まで対応する拡張性
Clarett+ OctoPreやScarlett OctoPre、あるいはADAT出力のある機器を接続して入力を拡張することができます。サンプルレート48KHzで8チャンネルの増設が可能。S/PDIF端子から2チャンネルの増設と合わせると 最大18入力まで増設できます。MIDI端子も付いているので外付け音源やコントローラーなどの接続時にUSB端子まわりがスッキリしますね。
アナログ出力は10系統。バランス仕様で、デフォルトでは1-2chがモニター用となっていてフロントパネルのMONITORつまみやDIM、MUTEスイッチが有効になります。10系統の出力があると、サラウンドのモニタリングやアウトボートのインサートなどにも便利に使えそうです。増設機器を同期させるためのWORD CLOCK OUTももちろん装備。
ヘッドホン端子は2系統装備。Focusrite Controlソフトウエア上でそれぞれのカスタムミキサーを使いモニターバランスを作成することができます。歌録りの時にボーカリストとエンジニアで別々のバランスでモニタリングすることも可能。また空いてる出力を使ってヘッドホンアンプを接続すれば、さらに別のメンバーにもモニターを送ることもできます。
スタンドアローンモードや便利なFocusrite Controlソフトウエア
Clarett+ 8Preは、PCとUSB接続をしなくても最後のセッティングを記憶していているのでスタンドアローンミキサーとしても使用可能。もちろんAirモードも使用可能です。Focusrite Controlソフトウエアでミキサー全体のスナップショットを保存・呼び出しできるので、セッション毎にミキサーの設定を保存できて便利です。
Focusrite Controlは、Clarett+ 8Preの18IN/20OUTの信号を柔軟にルーティングできるソフトウエアです。スタンダードなルーティング設定があらかじめプリセットで用意されていますが、非常に多機能(でもシンプル)ですのでFocusrite Controlの使い方をぜひしっかり理解することをおすすめします。
まとめ
ISA 110モジュールのサウンドを再現する「Airモード」付きのプリアンプを8基搭載し、ADAT接続など拡張性も充分は本機は、ホームスタジオなどの中心的機材として最適、そして音質を考えるとコストパフォーマンスもとても良いと思います。付属アプリケーションも充実していますし、バンドレコーディングなど多チャンネル収録を行いたい方、中規模ホームスタジオで生音をしっかり録りたい方、再生環境にこだわりたい方など、選択肢のひとつに加えてもよいのではないでしょうか。拡張性も高くコストパフォーマンスの良い8マイクプリのUSBオーディオインターフェイスです。