初心者にも優しい、“アーティストのための” 第四世代 Focusrite Scarlett 2i2 【製品レビュー】
Focusriteの人気オーディオインターフェイス、エントリーモデルのScarlettシリーズ
1980年代にRupert Neve氏により設立され、優れたコンソールやマイクプリなどを作ってきた「Focusrite」の、エントリーシリーズのオーディオインターフェイスといえるのが「Scarlett」シリーズです。Scarlettシリーズも第4世代となり、数々のブラッシュアップポイントがあります。その中でもマイクプリ2基、オートゲイン機能などでバランスの取れたお求めやすい「Scarlett 2i2」をピックアップしました。比較的競合機種の多い価格レンジですが、しっかり競争力のある仕上がりになっています。
Scarlettシリーズで印象的な前面パネルのLEDがさらに洗練されて、視認性・使い勝手もよく気分がアガります。電源投入時のニードルスイープ?な光り方もおしゃれです。こういう演出は製品の性能とは関係ないところですが、クリエイティブ作業に入る前には気分をアゲる演出もアリですよね。
前面にLINE入力のTRSジャック、背面にマイク入力のXLRコネクタがありますが、マイクは必ず背面のXLRコネクタに接続する必要があります。フロント端子にライン入力やHi-Z入力の接続があるとそちらが優先されます。スマホやタブレットなど電力供給力が弱いデバイスで使用する時に電力供給できるUSBポートも装備。
2タイプのAirモードでトラックに艶やパンチを
先代モデルから搭載されていた「Airモード」が2モードになり、「Air Presence」と「Air Presence & Harmonic Drive」から選択できます。ギターで試してみましたが、「Air Presence」では中音域にハリが出てファットになる感じ、「Air Presence & Harmonic Drive」ではさらにエッジが効いて前に出てくる感じです。Harmonic Driveも入れた方が抜けが良くなる感じですが、「Air Presence」で甘いトーンで弾くのも結構おすすめです。
初心者も安心、オートゲイン&クリップセーフ機能
Autoボタンを押して10秒間(LEDによるカウントダウン付き)通常の演奏を行うと、適切なゲインが設定されます。Autoボタンの長押しで2ch同時に設定することも可能です。 クリップセーフ機能はSafeボタンを押すことで、入力信号でクリップが発生しそうな時に、自動でクリップを回避するようゲインを調整してくれる機能です。どちらも録音時の適正なゲイン設定が安心して行え、レコーディングに集中できる便利な機能です。
パワーアップしたマイクプリ、 Dレンジ120dBのコンバーターを搭載
+69dBのゲインをもち、さまざまなマイクに対応するマイクプリと高音質なHi-Z入力、上位機種のRedNetと同等のコンバーター性能のおかげで、レンジ感も自然で、太く力強い音です。オートゲインやAirモードなどを用いることで、良い録音のために重要な要素である「適正な録音レベル」でレコーディングが可能。また192KHz/24bitまで対応するDACとしても充分な音質で、音楽鑑賞にもおすすめです。
ループバック機能もついているので、PCからの音声をDAWに取り込むこともできます。DAWから見える、INPUT 3-4chが基本的にループバックの入力になります。ダイレクトモニタリング機能はDAWを介さず直接入力信号をモニタリング出来る機能で、演奏収録時にレイテンシーの無いモニタリングが可能です。フロントパネルには「Direct」ボタンしかありませんが、ソフトウエア(Focusrite Control 2)上でPCからの音とマイクなどの入力とのバランスを調整することが可能です。さらに設定でこのダイレクトモニタリングの出力をループバックに乗せることも可能になっています。
まとめ
先代の第3世代よりも音質、使い勝手ともにしっかりアップデートされています。付属アプリケーションもRed 2 & 3 や、Bx_console Focusrite SC などFocusriteゆかりのプラグインや、Ableton Live Liteなど、すぐにレコーディングやトラックメイクが始められるツールが揃っていて、この競合が多い価格帯でしっかり魅力を放っています。日本語マニュアルが充実していますし、音質もナチュラルで高解像度、オートゲインなど親切機能も搭載で初心者の1台目にもお勧めできます。
コンパクトでデザインの良い筐体と確かな音質、非常にバランスの良いオーディオインターフェイスです。